『風待ち珈琲』を訪ねて、大分&福岡 一泊二日の列車旅

大分県中津市にある
『風待ち珈琲』
オリーブの木がお出迎え

while waiting for the wind to blow,  while waiting for the wind to stop,  with Kazemachi Coffee 
〜 風の吹くのを待つときも 風が止むのを待つときも 風待ち珈琲といっしょに 〜

三角屋根の美しい外観、その正面壁に綴られた英字の言葉。2019年8月にオープンの自家焙煎珈琲専門店。コロナ渦を経て少しずつカタチを変えながら、静かな本の読めるカフェとして地域の人々に愛されている『風待ち珈琲』さんを訪ねました。

目次

出会い

2020年4月、新型コロナウィルスが世界中に蔓延して、日本でも初めての緊急事態宣言が発令。「ソーシャルディスタンス」「ステイホーム」というワードが飛び交い、不要不急のお出かけは控えるようにとの呼びかけが連日続きました。『本のあるカフェ ホコト』のあった神戸市内は感染者数も多く緊迫感が漂っていたこともあり、4月8日から5月末まで喫茶営業をお休みする措置を取りました。辛くて先の見えない日々。特に飲食店はクラスターの根源のように捉えられ、それはもう悩みに悩んだことを今更ながら思い出します。

そんな状況で思いついたのが、#私の喫茶本とカップ という参加型の企画。
お気に入りの喫茶店・カフェに、自由に通える日々が少しでも早く訪れることを祈り、喫茶文化に親しむきっかけとなった本と愛用のカップ写真を共有しようとインスタグラムで呼びかけたところ、お客さまからの投稿に混じって1通のダイレクトメールが届きました。

送信元は『風待ち珈琲』さん。カフェの厨房と広報を務める店主さん(ご夫婦で経営の奥さまの方)からの連絡でした。文面には「同業者ですが、参加してもよろしいでしょうか」との但し書きとともに、すてきな本とカップの写真が添えられていました。

・お気に入りの喫茶本→『カフェノナマエ』川口葉子 著(キノブックス)
・愛用のカップ→ 竹久夢二 「雪の風」マグカップ
・メッセージ→ 不自由な今ときは、班琲とこの本で机上でカフェめぐりです。自由にカフェを楽しめる日が、一日でもはやく訪れますように。

このご縁をきっかけとして、交流がはじまった大分の『風待ち珈琲』と神戸の『本のあるカフェ ホコト』。
お互いの存在を気にかけながら、カフェ時代は同志として励まされたり、励ましたり。ホコトが実店舗を終了したあとも、静かな読書を楽しむカフェとしての道を歩まれている風待ちさんを、自分たちのことのように応援し続ける日々でした。いつか訪問したい、いつか、いつの日か、の思いがようやく実現したのが今年6月中旬のことです。

遂にお店を訪ねる

その日は心配していた台風も進路を外れ、朝から初夏の陽射し。前日から別の用件で博多に来ていた私は仕事に向かう娘と別れ、午前10時発のJR特急ソニック13号の指定席を購入。いざ、『風待ち珈琲』さんのある大分県中津市へ!

車内は広々して心地よく、約70分の列車旅はあっという間。途中、小倉に到着する直前から車内がざわざわ。みなさん立ち上がって椅子の向きを回転させるではありませんか。よくわからずオロオロしていると近くの男性がさりげなく笑顔でレバーを回してくれました。そう、小倉で電車が方向転換するので、お客さんが力を合わせて向きを変えるタイミングだったのですね。九州の人は車掌さんもお客さんもニコニコ愛想がいいなあと静かに感動。

博多駅から乗り込んだのは「ソニック号」
コバルトブルーの車体が気分を盛り立てる

目的の中津まで約70分の列車旅
窓枠など各所に木材が使われ
広々して快適な車内

車窓からの景色も
緑が多くて癒される

中津は福沢諭吉のふるさと
至るところで諭吉先生のお顔を拝見して
なんだかありがたい気持ちに
中津駅からタクシーで約6〜7分
通りから少し入ってもすぐには見つからず
そこに突如現れた、夢にまで見たこの外観
(車道からは見えないところが推しポイント
たんぽぽの綿毛をモチーフにした
ロゴデザインの看板
そして椅子に広げたノートには
店主さんの手書き文字で
「静かな落ち着いたひとときを
お過ごしください」
入店して見上げると
吹き抜けの天井がお出迎え


思わず深呼吸したくなる清々しさ
エジソンランプがほんのり灯る
店主さんが一冊ずつ丁寧に選び抜いた
本棚の本は手にとって読むことができる

一部をのぞいて販売もされていて
お気に入りを見つけたら連れて帰る楽しみも
ほどなく席に運ばれてきた
お水のグラスの美しいこと!
最初のおもてなしとして
おいしいお水はとても大切
そして正面にはマスター手作りの
「本の木 book tree」
これも実際に見てみたかったもののひとつ

最初にオーダーしたのはアイスコーヒー
丁寧にゆっくりドリップして

熱々を氷で急速冷却
淹れたてのアイスコーヒーは最高

[ツナとアボカドのクリームチーズトースト]
ふんわり食パンをさっくりトーストして
オリーブオイルや岩塩をアクセントに

こちらも絶品(お皿やカトラリーも素敵)
途中から席を窓際に移動
ふと眺める先には
大好きなトネリコがコンニチワ


選ぶ植物にもsympathyを感じる
(ここは自分の店かと錯覚するほどに)
二杯目はカフェインレスの
ホットコーヒー 月読(つくよみ)
黒糖のようなコクと爽やかなフレーバー


口に運ぶ瞬間まで香りを閉じ込めるようにと

コーヒーカップは上をすぼめたデザイン
まるでステンドグラスのような
爽やかな甘さのフルーツカッサータ


時間と共にマスカルポーネチーズが溶けて
不思議な世界へ連れていってくれるデザート
コーヒーとの相性抜群
楽しい時間はあっという間に終わり
帰りも中津から小倉まではソニック号
和モダンなデザインで

天井が高く広々と感じる
たくさんの思い出を胸に
小倉まで戻り、新幹線に乗り換え
(この駅に降り立つのは初めて)
新神戸までの帰路につく

中津市内でたくさん目にした[唐揚げ]の文字
気になって調べてみると

唐揚げがB級グルメとして有名とのこと
小倉でこんな駅弁を見つけたのでお土産に買い
家であたためておいしくいただきました◎
(駅弁も旅の楽しみのひとつですよね)

番外編(博多の思い出)

JR博多駅直結アミュプラザ5F
『パン屋むつか堂 カフェ』
お昼時だったので順番待ちの椅子で
20分ほど待って店内へ
窓に面したゆったり席でいただく
ラテアートが可愛いホットカフェラテと
[ 塩あんバタートーストset サラダ付き ]


パンはふわもち
ミミもやわらかく
あんこもほくほく甘さ控えめ
トッピングの塩が効いてとても美味しかった
ベイエリアにある
福岡サンパレスホールにて
緑黄色社会のコンサートを娘と楽しむ
サウンドが半端なくカッコイイ
(またバンドしたいなぁと思うオトナ世代)
コンサートを終えた19時
外はまだほのかに明るく
目の前の博多埠頭で夕景に見惚れる
左手に見えるのは

ベイサイドプレイス博多
宿泊ホテルの近くで見つけた
こじんまりと粋なお店『晴れる空』
麺かためで注文したとんこつラーメンは
コクがあるけどあっさり仕上げで大満足
博多の夜のしめくくり

神戸に戻り、余韻を楽しむ

帰宅後は、お土産に買って帰ったコーヒーを飲みながら写真を眺め、ブログを書いて振り返り。
メニューや調度品、そして本を丁寧に選んだその空間はすばらしくて未だ余韻が冷めず、店主さんにも直接お会いできて本当に行ってよかったです。個人経営のお店は店主の人となりがそのまま反映されていて、決して替えは利きません。もしも行きたいお店があるならば、できるだけ早く行ってほしいと思います。会いたい人に会うのも同じ。「いつかそのうちに」ではなく、行ける時にぜひ。

風待ちさんで一目惚れした絵本
『あさがお』荒井真紀/文と絵(金の星社)


そしてドリップバッグ各種
自家焙煎のお店ならではのこだわりで
香り高くて美味しいコーヒーが楽しめる
ショップカードやドリップバッグなど
デザインはご家族が手掛けられているとのこと
唯一無二である所以がここにも

カフェの情報は日々更新。最新のことは風待ち珈琲さんのインスタグラムをご覧ください。→https://instagram.com/kazemachicoffee?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
店主さんの紡ぐ言葉が味わい深く、写真と共に日々のエッセイを読むような気分にさせてくださいます。

今回の訪問は私ひとりでしたが、次回はホコトマスターも伴ってぜひマスター同志のコーヒー談義を聞いてみたい。奥さまとゆっくり好きな本やペットの話もしたい。京阪神の素敵なカフェもご案内してみたい。ひとつの出会いがまた明日への活力につながります。皆さまもどうぞ良いカフェと出会ってください。

2023年6月末
(元ブックカフェ『本のあるカフェホコト』マネージャーhana 記)

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