9月は雨のスタートになりましたね。いかがお過ごしでしょうか。この数年で生活環境の変わった方も多いと思いますが、私たちもカフェ店主から在宅ワーカー、そして想像もしてなかった「ネコのいる暮らし」へとめまぐるしく変化しています。7月初旬に子ネコを迎えようと決めてから現在までのサプライズな50日間を、ここに記録として書き留めておきます。
はじまりは一通のメール
ことの発端は、親しくしているAさん(神戸・岡本にある『古着屋&喫茶室 MOTHER MEETS』の店主さん https://www.mothermeets.com/)からのメール。
【お店のテラスにやってきた母ネコと子ネコ4匹を保護しました。里親探しにご協力いただけませんか?】
添えられているのは可愛い4匹の子ネコ写真。黒茶の縞模様キジトラ3匹に白黒ハチワレ1匹。わあ、かわいい。。。思い当たる友人知人に連絡する中、手を挙げたのがなんと東京にいる身内でした。今は環境が整わないけれど、いずれ東京の住まいに迎えたい。そんな熱い思いを胸に子ネコに会うため新幹線で駆けつけたのが、7月10日のこと。ドキドキしながらいざご対面!人間には慣れてなくてシャイな男の子(その時点での名前はクロちゃん)の見上げるブルーアイに一目惚れ。この子を迎えたい意向をAさんに伝えていったん帰宅し、2週間後にお迎えすることとなったのでした。
子ネコを迎える準備
さあ、それからが大変です。イヌを飼ったことはあるけれど、ネコに関してはまったくの初心者。まずマスターがとった行動は、書店に行き指南書を選んでくることでした(さすが、元ブックカフェ店主ですよね)。
『ネコの気持ちと飼い方がわかる本』(主婦の友社)、『0才から2才のネコの育て方』南部美香/著(高橋書店)の2冊。昨今はもちろんネットでも情報が手軽に取れますが、出所を特定できないものも多く見られます。その点多くの人の手を経て出版された本は、一貫したポリシーで責任を持って編集されており、手元に置いてマニュアルとして活用するのに適しています。
本を読むとまさに驚くことの連続。いちばんショックだったのは、ネコにはアレルギーのある植物がたくさんあるということ。観葉植物のみならず、アジサイ、ジャスミン、アサガオ、ヒヤシンスなど身近な花にも中毒症状を起こすのだとか。ガーデニングが大好きで室内にもグリーンを徐々に増やしていたところでしたが、仕方なく全部ベランダへ。
飾っていたドライフラワーやモビール、ガラス製の置物なども戸棚の中にしまいました。
また、「ネコは基本的にしつけはできません」の一行に戦々恐々。え?そんな気ままな生き物とどうして暮らしていくの?と不安ばかりが大きくなる日々でした。
次に向かったのがペットショップ。ひとまずネコを迎えるための基本セットを買い揃えることに。フードは現在食べているものと同じものを購入。基本のドライフード(通称カリカリ)はロイヤルカナン”成長前期の子猫用”、その他のフードもすべて子ネコ用をチョイス。カルカンやチュールなど、名前は知っていたけれど買うのははじめてのものばかりでとても新鮮。ごはんやお水を飲む器もネコ用に設計された陶器製で統一。きれい好きなネコにとってはトイレも重要アイテムとのことで、シンプルなブラウンの箱型(Richell製)を選び、砂は濡れると水色に変化する紙砂で。加えて爪とぎやネコじゃらしのようなおもちゃを数種類。首輪やハーネスは必要なのかな、と思いつつわからないので次回にまわすことに。ベッドも迷いながら小さな楕円形のものをひとつ買って、たくさんの荷物と共に帰宅しました。
そして準備の最大イベント、ケージの選定と組み立て。マスターが得意のメジャーを駆使して設置場所のサイズを計り、数点のキャットケージをピックアップして比較検討を重ねます。上へ登りたいネコの習性を考慮して、高さ180㎝の3段式を選びました。Amazon注文でありがたいことに翌日には到着したので、すぐに組み立て開始。入り口にトイレと爪とぎ、2階が食堂、3階にベッド、4階がプレイルーム、5階にハンモック。なんと豪華なタワーマンションでしょう!慣れるまでは人目につかない逃げ込める場所も必要とのことで、病院などのお出かけ用に飼ったキャリーケース(ブラウン・ソフトタイプ)をケージの近くに置き、あとは主役を待つのみに。
そうそう、ペットを迎えるためにいちばん大切なことのひとつ、名前について。
以前飼っていた愛犬がウェルシュ・コーギーの”みりい”という名前でしたので、今回も洋風ネーム+ひらがな表記にこだわりつつ、呼びやすくて洒落ててお顔に似合う名前ということで ”るい” くんと命名されました。そのことを事前にAさんに伝えると、さっそくその名前で呼ぶようにしてくれていたみたいです。早くから名前を決めて呼びかけることは、人間にもネコにも同じように大切なこと。繰り返し呼ぶことでネコは自分の名前を認識するようになるそうです。呼びかけるとニャーとお返事してもらえるなんて、考えただけで幸せ(そんな日が来るのかな)。
ようこそ我が家へ
そして遂に約束の7月24日、朝10時半。キャリーごと車に揺られてホコトに到着したるいくん。知らない場所に怯えてすぐにソファの下やピアノの裏に隠れてしまいましたが、もともと遊ぶことが大好きなのでおもちゃにだけは反応して目をきらきらさせながら寄ってきてくれます。
でも、ふと我に帰ると一緒にいたはずの仲間を探してニャーニャーかぼそい声で鳴き続け、しまいには疲れてトイレの隅っこで寝てしまう始末。触ろうとするとシャーと威嚇するし、爪を立てるので近寄れず。夜もごはんは一応食べつつもずっと仲間を探し続け、ようやく疲れて寝ついてくれたのが明け方近く、外が白んできた頃でした。この時点ではお先まっくらという心境。。
それから約1週間、夜はそれなりにおとなしく寝てくれるのですが、昼間もトイレと食事以外はほとんど姿を見せず、おうちの中に野良猫ちゃんがいるような状態が続きます。早く寝顔を見たいなあ、いつになったら抱っこできるのかな、などと思いながら、時々見かける姿を写真におさめる日々。
体も細くて小さいけれど、とにかく俊敏で気がつけばカーテンの上にのぼっていたり、ケージの天井まで行ってしまい降りられなくて震えていたり。思案の挙句、玄関から飛び出さないように廊下にネコ用のゲートを設置しました。突っ張り棒で固定され、開け閉めにはロックが必要なタイプ。これにより日々の暮らしが分断されるという不便さは否めませんが、どこまでもエリアを広げるネコの習性を考えるとこれもやむを得ないのかと思うことにしています(時々閉め忘れて、気がついたら玄関側に来ていることもあるのですが)。
そしてこれからも
その後るいくんはしっかり食べてよく眠り、たっぷり運動してすくすくと成長し、体重も1600g超に。少しずつ私たちとの距離を縮めてくれて、3週間経つ頃から急に甘えん坊モードになってきました。マスターが冷蔵庫に手をかけると足元に体を擦り寄せてニャーニャーとかつおぶしの催促。夜は晩酌に付き合ったりパソコンの邪魔をしたり、すぐ近くでお腹を上にして可愛い寝顔を見せてくれたりと、すっかり家ネコとしての素質が開花した感じです。そして驚きはまだ続きます。
2回目のワクチンを打ちに行った8月末のこと。担当の獣医さんが検温しながら「るいくん、あれれ?」「あるべきものが無いね、もしかして女の子では」と衝撃のひと言。「え!?」私たちも一瞬びっくりしましたが、その後何人かの先生のチェックを経て女の子と確定したのでした。誕生が5月のはじめ(推定)なのでほぼ4ヶ月弱、男の子として生きてきた”るいくん”が ”るいちゃん”になった瞬間(笑)。愛称”るいるい”でインスタグラムデビューもしていますので、よろしければご覧ください(アカウント名→@rui_rui0501)。
以上がこの1ヶ月の記録です。お出かけもほとんどせず、子ネコ一色の夏休みでしたが、マスターも私も新しいことに出会うのが好きという性質が根底にあるようで、この状況をとても楽しんでいることが嬉しくもあります。偶然の出会いだけど運命とも思える繋がりの深さ。以前は犬の可愛さに触れ、自分は犬派だと信じていたけれど、ネコの魅力に考えが一変。でも、猫派になったのではない。そうやって決めつけてしまうことはもうやめよう、これからはもっと多様性を受け入れていこうと、るいちゃんに教えられた気がします。東京へ旅立つ日はまだまだ先の予定ですが(もしかしたらずっとこのまま神戸かもしれないけれど)、それまでの時間を愛おしみ大切に育てていこうと思います。
そしてホコトの本棚には以前にも増して、イヌネコ関連の書物が増えていくのでした。順次オンラインショップにも出していこうと思います。それにしてもネコって不思議。
[ 2022年9月 マネージャー記 ]
追記:
一緒に保護された母ネコと白黒ハチワレちゃんはそのままAさんのお家に残り
るいちゃんをはじめ3匹のキジトラ姉妹はそれぞれ望むべき人のところへ引き取られました。
みんな元気に過ごしているようです。いつか同窓会ができたらいいね。