サンタクロース、ライフ。

いつ頃からサンタクロースを信じなくなったのだろう。小学校低学年くらいだろうか。 
 それまではもちろん固く信じていた。当時私の街ではクリスマスになるとお菓子屋のおじさんがサンタの格好で軽トラックの荷台に立ち、子どもたちにお菓子を配っていた(無料であった)。私たちは子どもなりに区別していた。このおじさんはサンタのニセモノであり、ホンモノは夜中にこっそり来てくれるのだと。そして遠慮なくお菓子を食べた。
 ところが、いつの間にか、ホンモノが心から消えてしまった。
 そして今。あの頃と変わらず街にはサンタのニセモノが出没し愛想を振りまいている。小さい子どもは喜び、少し大きくなった子どもはいつか大人に問いかけるだろう。「サンタって本当にいるの?」
そんなとき、できれば子どもを幻滅させたくない。いるよと心から答えてあげたい。だが本人が信じていないことをどうして子どもに真顔で言えるだろう。
 そんな不安をすっきり解消してくれたのがこの本である。おかげで私は真顔で言える。
「サンタクロースは本当にいるよ。世界に180人。アジアには今のところ1人だけ。見てこの本。みんないい笑顔。楽しそうだね」
 グリーンランドに国際サンタクロース協会という組織がある。この本の著者はそこの厳しい試験に合格した公認サンタクロースの一人なのだ。
本は生々しいエピソードの連続で、幼い頃思い描いていたサンタとは何とも雰囲気が違う。だが行間から伝わる包容力と優しさ、真剣さとユーモアは、心に暖かい灯を点すのに十分だ。

これは私がかなり前に、ある新聞に寄稿した本紹介です(一部修正)。
この本、ホコトの本棚の中では浮いているという声もあります。確かにそうかもしれません。私の好きな本が私の店で浮いている…この奇妙な現象に当惑しているところです。今週末はとても寒くなるとか。皆様お体に気をつけてお過ごしください。

(店長 記)

『サンタクロース、ライフ。』(パラダイス山元/著、ヤマハミュージックメディア、2002年) 

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